2015年04月05日

トンコリについて

 辞書的な定義を掲げるならば、トンコリとは「樺太アイヌの弦楽器」ということになるだろうか。5本の弦が張られた細長い琴のような楽器で、奏者が自分の体の前に抱えるようにして持ち、両手の指で弦を弾いて音を出す。
 アイヌ民族博物館から『西平ウメとトンコリ』というCD、DVD付きの本が出版されていて、様々なトンコリの写真や演奏のし方や楽譜や、さらにはトンコリの作り方まで載っているので、トンコリを知りたい方は、まず最初にこの本を手に入れることをお勧めしたい。
 トンコリの音やトンコリを使った音楽については、西平ウメさんや金谷栄二郎さん等のトンコリ奏者が演奏する伝承曲の録音をCDで聴くことができるので、探して聴かれるとよいと思う。また、トンコリを使って独自の音楽活動をしている人としては、OKIさんがよく知られている。
 トンコリの音は小さい。その音圧は、アコースティックギターの10分の1ぐらいだと言われている。狭い部屋で少人数で聴く場合は生音でもいいが、屋外や少し広い会場で多くの人たちに聴いてもらうような場合は、PAを通して拡声しないと、「あの人たち何やってるの」という、訳の分からないことになってしまう。
 トンコリは音の小ささから考えて、元来は少人数の聴き手を相手に演奏するための楽器なのだと思われる。あるいは、奏者が自分自身のために演奏して楽しむための楽器なのかもしれない。
 アイヌ民族には、そのときそのときの思いを即興で歌う習慣が伝わっているが、トンコリがある地域では、トンコリの伴奏に乗せて、弾き語りのように、そのときそのときの思いを身近な人に聴いてもらったり、あるいは、独り、呟くように歌ったりすることがあったのではないかと想像されるし、実際そのような演奏の録音も残されていて、CDで聴くことができる。
 トンコリの伝承曲を練習するのも、もちろんよいが、適当にポロポロつま弾きながら適当に歌を歌ってみたりするのも楽しいし、それがトンコリの正しい使い方の一面でもあるのだと思われる。(田中敬三)


ラベル:トンコリ
posted by NOTO at 10:52| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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